米国・NIH(アメリカ国立衛生研究所)の日本人・小林久隆主任研究員が手がけている「光免疫療法」について、同氏の帰国に合わせて、光免疫療法の治験の進行状況を取材した結果が、テレビ朝日「モーニングショー」のそもそも総研(2017年6月29日)
にて放送。光免疫療法の日本の治験はいつから始まるのか、またアメリカの治験結果はどうなったのかについて紹介されました。

光免疫療法の日本での治験はいつから?

アメリカで治験が進んでいる光免疫療法が、日本に入ってくるのはいつ頃になるのか、前回は日本で実用化されるのは5年後(アメリカでは2~3年後)と紹介されましたが、治験のことは放送されませんでした。

小林主任研究員によれば、実は「日本でも臨床実験が始まろうとしている」とのこと。

「楽天」が日本の光免疫療法を推進

意外なことに、「楽天」三木谷浩史社長が日本国内の光免疫療法を熱心に推進している。

楽天は、近赤外線によるがん治療法「光免疫療法」のライセンスを持ち、光免疫療法の実用化を目指すアメリカのベンチャー企業「アスピリアン・セラピューテクス Aspyrian Therapeutics,Inc.」の筆頭株主であり、三木谷浩史社長はこの企業の取締役会長に就任している(2017年2月13日発表)。その後3月には日本支社を設立

三木谷氏は国内企業と合弁でビジネスを展開することも視野に「事業、データ、ブランドを通じたシナジー効果を生み出していきたい」と話しているとのこと。

日本の治験が始まる時期は?

その日本支社に小林主任研究員が「無給アドバイザー」として参加しており、ご本人曰く「少なくとも来年、上手くいけば今年の終わりあたりから臨床実験が始まると思う」とのこと。

 

光免疫療法のアメリカでの結果

ヒト(人間)に関する臨床実験の結果

小林主任研究員によると、この半年間で臨床実験は順調に進んでいるとのこと。

現在、ヒトに関しては「頭頸部(とうけいぶ)がん」のみに臨床実験が行われている。

頭頚部がんとは、頭と首のがんのこと。

トマスジェファーソン大学の発表例によると、末期頭頚部がんの患者7名が臨床実験を受けた結果、

4名は、一ヶ月後には腫瘍がなくなり三ヶ月後には皮膚も回復し、
再発もせずに一年以上生存している。

1名は現在治療中で生存。

1名は、光免疫療法による治療が効きすぎ、がんが消失したことで血管を守る細胞が無くなったために

頸動脈が外に浮き出てしまい、血管が破れて出血死してしまった。

最後の1名は、骨髄の中までがんが進行していたために治療が出来なかったとのこと。

 

光免疫療法に使用する抗体について

光免疫療法とは、あるがん細胞にだけくっ付いて目印になる抗体とIR700という色素とを結合させた液体(青色)を静脈注射で体内にめぐらせると、結合物はそのがん細胞だけにくっつく。

そこへ近赤外線を当てると、抗体とIR700の結合物がくっついたがん細胞だけの表面が傷つき、周囲の水分を吸収してふくらみ続け、約1分で体積が2倍になり破裂してがん細胞だけが死ぬ。

破裂したがん細胞の破片を免疫細胞が食べることにより、がんを異物と認識して他の生きているがん細胞をも食べ続けるようになるというのが、光免疫療法の概略。

目印となる抗体は現在ヒトの治験に使用しているのは1種類だけだが、治療に用いることの出来る抗体は20種類程見つかった。

このうち10種類の抗体が利用できれば8~9割のがんに適用できるというのだ。

光免疫療法の動物実験について

マウスの実験で光免疫療法が成功したのは、B型リンパ腫と前立腺がん。

肺がんと悪性黒色腫は、対応できる抗体がみつかった。

「大腸がん」「すい臓がん」「悪性黒色腫」「乳がん」などは大きな動物での臨床実験の準備が進んでいるとのこと。

すべてのがんの臨床試験が終わるまでにはかなり時間がかかるが、途中で少しずつ薬として実用化になるとのこと。